これまでに『美味しんぼ』や『クッキングパパ』をはじめ、和食・洋食・中華に問(と)わず数々の料理漫画(まんが)が世に出ました。今回は、小林有吾(こばやしゆうご)さん作の月刊少年マガジンにて連載(れんさい)されている、『フェルマーの料理』をご紹介したいと思います。
この漫画の何がすごいって、今までにない「数学」と「料理」が掛(か)け合わさった漫画なんです!料理漫画なことは分かりますが、どのようにして数学を絡(から)めているのか不思議ですよね。
今回は漫画『フェルマーの料理』のあらすじのネタバレと、一足先に読んだ方の感想をご紹介します!
【フェルマーの料理】ネタバレと感想を紹介!

『フェルマーの料理』は、数学者を目指していた高校生・北田岳(きただがく)が若き天才シェフ・朝倉海(あさくらかい)ど出会い、料理の道に進んでいくお話です。岳の数学的な発想や論理と、海の料理の知識が合わさった今までにない料理漫画となっています。
岳は数学者として将来を期待されていましたが、「自分はトップにはなれない」と気づきその舞台から降りました。自分が通う高校の学食でアルバイトをしていたある時、まかないとして作ったナポリタンを仲間に出していたところ、怪しい男・海に出会います。
海は岳が作ったナポリタンを食べると、あまりの美味しさに感動し岳に興味を持ちました。後日海は岳が暮らしている寮(りょう)に来て、岳が作ったナポリタンを再現します。そして岳の才能を伝え、料理の世界に誘うのです。
1度は夢を諦(あきら)めた主人公が、新たなる目標を持って進んで行く姿はとても情熱的ですし、見ていてこちらも心が熱くなります。数学的な説明もあるので苦手な人は鳥肌が立ちそうですが、これがまた分かり易くて読むと美味しい料理の秘密(ひみつ)に納得がいくのです!
それだけではありませんよ!登場人物も個性的なので、物語の面白さがさらに上がるんです。キャラクターが魅力(みりょく)的でないと、なんだかつまらなく感じてしまいますよね。『フェルマーの料理』にはどんなキャラクターがいるのでしょうか?
『フェルマーの料理』の登場人物

では、物語を盛り上げてくれる登場人物達をご紹介していきます!
- 北田 岳
高校3年生。数学の天才で数学者を目指していましたが諦めました。その事が理事長の逆鱗(げきりん)に触れ、退学の危機に。免除(めんじょ)されていた学費を稼(かせ)ぐ為、学食でアルバイトをしている時に海と出会い、料理の道に進むことを決めます。
- 朝倉 海
23歳という若さで一つ星レストラン「K」を経営している天才シェフです。岳がまかないで出したナポリタンを食べて感動すると同時に、数学と料理の才能を見抜きます。そして、岳を料理への道に誘うのです。
- 魚見 亜由(うおみ あゆ)
岳と同じ学食で働いているアルバイトの女の子。スポーツ科に所属する高校3年生です。ギャルっぽい見た目だけど、岳のことを何かと気に掛けてくれます。
- 西門(さいもん)理事長
岳が通う私立ヴェルス学園の理事長です。岳の才能に期待していましたが、数学オリンピック選考会で答案を白紙で出したことに怒り、「学園の名誉(めいよ)を傷つけた」として退学するように言います。
- 赤松 蘭菜(あかまつ らんな)
レストラン「K」で働く女性料理人です。岳の才能をテストする為の料理を作りました。
- 武蔵 神楽(むさし かぐら)
数学オリンピック日本代表で、岳が選考会の合宿中に話した同年代位の女の子です。数学の道から料理の道に行った岳を最初は冷めた目で見ていました。しかし、岳の料理を食べて料理の道を応援してくれるようになります。
- 岳の父親
息子の夢が数学者から料理に変わっても全力で応援し見守ってくれる、岳にとってかけがえのない存在です。
- 寧々(ねね)
レストラン「K」で働く給仕(きゅうし)長の女性です。牛乳瓶(びん)の底みたいな丸いメガネが特徴。
- 布袋(ほてい)
レストラン「K」で働く男性料理人です。黒くて長い髪が特徴。岳がまかないで作った肉じゃがを食べ「料理人に向いてねぇ」と言います。
少年のように目をキラキラさせて料理に夢中になる岳は見ていて微笑(ほほえ)ましいし、海はイケメンで岳に色々とアドバイスを送る姿はカッコ良いです。他にも「K」で働くスタッフも個性的かつ魅力的なので、物語に引き込まれてしまいますよ。
ここまで本記事を読んで少し興味が湧いたけど、それでも「本当に面白いの?」と頭の端っこで思ってしまう人もいるのではないでしょうか?その気持ちも良く分かります!リアルな声が聞きたいですよね。そこで、一足先に『フェルマーの料理』を読んだ人の感想を覗いて見ましょう♪
読者の感想は?

漫画『フェルマーの料理』を読んだ人の感想を集めてみました。リアルな声なので読むか読まないか、判断の1つとなれば嬉しいです!
- 今までにない料理漫画でかなり新鮮な気持ちで読むことが出来た。
- 物語に引き込ませる圧倒的なストーリーと絵力、クオリティが高くて面白い!
- 料理のシーンは迫力(はくりょく)があり、解説もしっかりしていて面白かった。
- ただ食べて作るのではなくて、数学の思考が生かされてレシピという名の計算式を導き出しているのが斬新(ざんしん)だった!
- 岳を絶望から救った海はヒーローみたいだったし、料理も美味しそうで見ていて食べたくなる!
皆さん、最初は数学と料理がどんな風に結びつくのか想像が付かなかったようですね。ですが、分かり易く説得力のある数学の解説にどんどん引き込まれていき、夢中になって読んでしまったという感想が多かったです。数学が苦手な人も難なく読めてしまうところが良いですね!
また、作者の小林有吾さんはサッカー漫画『アオアシ』を描かれています。その漫画で磨かれた、少年が夢を追いながら努力し成長していく過程を描いたストーリーも魅力です。
数学×料理漫画が熱い!タイトルにある「フェルマー」とは?

ここからは、『フェルマーの料理』をもっと知っていただく為に、この漫画の熱いポイントをご紹介していきたいと思います!
また、タイトルにある「フェルマー」って何なのか気になりませんか?数学が好きな方は気付いたかもしれませんが、それをなぜタイトルに付けたのか考察してみました!
『フェルマーの料理』ここが熱い!
数学と料理を組み合わせているだけでも熱いのですが、それ以外にも注目していただきたいところがあるのです!では、早速熱い見所をご紹介しましょう。
①岳の数学的思考で作る料理が熱い!

何と言っても岳の数学的思考で料理を作っていく姿は見所です!岳が初めて披露(ひろう)したナポリタンを始め、レストラン「K」のテストで作った料理も、岳のこれまで培(つちか)ってきた数学的思考をもとに作られています。
岳は、料理を美味しい状態でお客様の前に出すことを「答え」とし、そこから逆算してどのようにしたら出来るのかを数式の問題のように「解(と)いていく」のです。では、岳が最初に作ったナポリタンの場合をご紹介しましょう。
- お客様用のフォークを出す時に、温度を45度に調整していた。
45度は人が最初に触って心地良いと感じる温度なのと、出来たての料理の温度を下げることなく熱々のままお客様の口に届ける為。
- 具材を炒(いた)める順番が正しく、ケチャップを直接具材に掛けずにフライパンの縁(ふち)にかけた。
それぞれの具材から出る旨味(うまみ)や食感を引き出し、トマトの香りを引き立たせる為。
- 炒める前のパスタを冷水でしめて冷蔵庫に入れた。
昔ながらの懐かしいナポリタンのように、もっちりとした食感を出す為。
たかがナポリタン、されどナポリタン・・・。こんなにこまやかな工夫を無意識のうちにやっていたというのだから驚(おどろ)きです!このナポリタンの件で、岳は料理が数式を解くワクワク感と似ていると気付き、料理の道に興味をしめすようになります。
②海の時々見せる狂気(きょうき)じみた表情が熱い!

肩に付く茶髪とイケメン顔、料理中以外は黒いパーカーを着ていているのが印象的な海。一見チャラそうな外見ですが、23歳で一つ星レストランのオーナーシェフを勤めているほど、料理の腕は特別です。また、料理に対する情熱も並々ならぬものを持っています。
子供のように笑う様子は可愛らしく、女性にはたまらないギャプがあって魅力のポイントです。ですが、岳がナポリタンを作った時にファークの温度にまで工夫をすることを知って悔しがったり、岳の才能をもっと知りたいし引き出したいと思ってワクワクしたりすると豹変(ひょうへん)。
料理に対する情熱や追求(ついきゅう)心が高いばかりに、時々狂気じみた表情をすることが海にはあります。正直びっくりするのですが、その表情があるからこそ物語の面白さが増し、海の料理への情熱を感じることが出来るのです。
③岳を支えてくれる人達の言葉が熱い!

夢を追いかけている時、ワクワク感もありますが同時に緊張(きんちょう)や不安もあるかと思います。その時に支えてくれる人達の言葉は励(はげ)みになりますよね。岳も数学の世界から料理という全く新しい世界に飛び込むことになった時、背中を押してくれる言葉達がありました。
海は「お前の数学的思考は料理のためにある」と進む道を示してくれ、亜由からは「あたしの中でおまえはヒーロー」と逆に自分が友達の支えにもなっていることに気付かされます。でもやっぱり、岳にとって1番響(ひび)いた言葉はこれではないでしょうか?
絶対 一人で抱えこむんじゃねぇ 逃げ出したっていい!
お前にはここっていう帰る場所があるんだからな!
何より誰より俺を頼れ 俺は親父(おやじ)だ 親父ってのはそういうもんなんだ!
引用 『フェルマーの料理』第5話
これは、岳の父親が東京に旅立つ息子にかけた言葉です。父親の大きな愛を感じますよね。この言葉により岳は背中を押され、父親に料理人としての自分を見せられるように、海のレストラン「K」での修業に努(つと)めようと決意したのでした。
タイトルにある「フェルマー」って何?

さてここで、漫画のタイトルに付いている「フェルマー」とは何なのか疑問に思いませんか?数学が好きな人は、お気付きかもしれませんね。タイトルにある「フェルマー」とは、「フェルマーの最終定理(ていり)」からきています。
17世紀のフランスにいた、天才数学者ピエール・ド・フェルマーが考えた定理(=問題)です。「xn+ yn = zn nが3以上の自然数で、0 でない自然数 (x, y, z) は存在しない。」というシンプルな問題ですが、なんと360年以上もの間誰にも解けなかった超難問でした。
懸賞金(けんしょうきん)も掛けられいて、その額は500万円!!いかに、難題であるのかが分かります。永久に誰にも解けない問題・・・と思った時、1995年にイギリスの数学者アンドリュー・ワイルズにより、この超難問の証明に成功したことで幕を閉じました。
「フェルマーの最終定理」は長きに渡り多くの人々が挑戦した問題でした。人によっては神に挑んでいるような気持ちで解いていたかもしれませんね。料理も同じことが言えませんか?海は岳に「料理を以(もっ)て神に挑む」と言っています。
料理人の中には「完璧(かんぺき)な一皿」や「究極(きゅうきょく)な料理」を目指して作っている人がいますよね。そして、それらは正解が見つけにくく難しい問題です。料理のレシピや手順は数学的要素もあることから、数学界難問の「フェルマーの最終定理」と掛けたのだと思います。
まとめ
- 『フェルマーの料理』は、数学と料理を掛け合わせた漫画
- 主人公は数学の天才少年で、若き天才料理人と出会ったことで料理の道に進む
- 今までにない料理漫画なことから、読者の感想は「面白い!」と好評(こうひょう)
- 主人公の才能や挑戦する姿も支持され、熱いポイント
- タイトルの「フェルマー」は、数学の定理名からきている
漫画『フェルマーの料理』のあらすじのネタバレと、読んだ方の感想をご紹介しました。数学と料理を掛け合わされた漫画は今までに見たことが無いですよね!その為、目新しさと面白さから読者の興味を引きつけ、そして心を一気に掴(つか)みました。
また、主人公が挑戦する姿も心を動かされます。どんな経験も自分の糧(かて)になると勇気が湧くのではないでしょうか。大人も子どもも楽しめる『フェルマーの料理』を、是非ご覧になってみて下さい♪
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