『猪突猛進(ちょとつもうしん)』という四文字熟語があります。意味は、周囲の人のことや状況を考えずイノシシのように、激しい勢いで突進することを言います。では、本当にイノシシって、まっすぐ突進するようにしか走らないのかな?と思いませんか。
実は、足も速いし、すごく俊敏(しゅんびん)に動き回る動物なんですよ。十二支の最後、『亥年(いどし)』にも登場しますが、どこか遠い山の奥深くに住んでいて、あまりなじみがありませんよね。生態もわからないし、ましてや鳴き声なんか聞いたことがない!!
そんなイノシシですが、山道を歩いていて突然遭遇(そうぐう)しても、街中で出くわしても、鳴き声を聞き分けることが出来たら、危険を回避(かいひ)できるかもしれません。藪(やぶ)に入ったときや山道を歩くときの注意として、イノシシの生態と鳴き声をご紹介します。
イノシシの生態と鳴き声

イノシシは日本全域で生息しています。北海道から九州に生息する『ニホンイノシシ』と沖縄だけに生息する『リュウキュウイノシシ』の2種類がいます。年々数は減少気味で、特にリュウキュウイノシシは絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に認定されています。
イノシシの生態
イノシシは、実はとても臆病(おくびょう)な動物でおとなしい性質の持ち主なのです。とても警戒心(けいかいしん)が強く、人間の匂いを感じたら寄りつかず、人を見たら怖がって逃げます。猪突猛進の言葉のイメージと全く違いますね。
体重は60㎏~100㎏となるものもいれば、150㎏近くあるものもいます。走る速さは約時速45㎞と意外と早いですよ。雄・雌(おす・めす)ともに『牙』をもっており、攻撃の時にも使います。
子供は体(からだ)に『縞模様(しまもよう)』があり『うり坊』と呼ばれています。可愛い姿なので近寄ってみたいなと思っちゃいますが、ダメですよ!近くにはうり坊の親がいるので攻撃されます。
イノシシの鳴き声
イノシシは姿や鳴き声が他の動物と似ていると思いませんか?そうです、『豚』ですね。鳴き声が「プギッ」「フゴッ」と聞こえるのは、鼻や口の作りが豚とよく似ているからで、鳴き声も同じなんですね。おもに繁殖期によく鳴きます。『ウリ坊』は「キィー」という声で鳴きます。
イノシシを家畜化(かちくか)したのが『豚』なので似ていて当然ですね。そのイノシシと豚の子供が『イノブタ』です。聞いたことがありますよね。そのため、鳴き方はみんな同じです。
ただし、イノシシがこんな声を出したら要注意(ようちゅうい)です!!「シュー」「カッカッカッ」「クッチャクッチャクッチャ」です。怖いイノシシがすぐ傍(そば)に来ています・・・・。この鳴き声は何を伝えているのか探っていきます。
鳴き方で分かるイノシシの威嚇が超危険

突然出くわしたイノシシが「シュー」という声で不穏(ふおん)な雰囲気を出し、続けて「カッカッカッ」と鳴いてきた。これは、どうやら怒っているようです。そして、「クチャクチャクチャ」と声を出したら、さらにめっちゃ怒っているサインです。
たてがみを逆立てながら威嚇している姿はどう猛(もう)な野獣(やじゅう)に変貌(へんぼう)した、超危険な状況です。たとえ姿が見えていなくても、この声が聞こえたら注意して、その場から速(すみ)やかに立ち去ってください。
イノシシが威嚇する理由とは
威嚇するイノシシに遭遇したくはないですね。走るのが早いイノシシに突進されたら逃げ遅れちゃいますよ。本来イノシシは臆病な動物なので、人を襲うということはめったにありませんが『危険!!イノシシ出現』の看板など立っているところには行かないのが賢明(けんめい)です。
では、どういう状況でイノシシが威嚇するのか、いくつかの原因があります。
- イノシシがケガをしているとき
- 犬に追われているとき
- 晩秋(ばんしゅう)から冬にかけての発情期(はつじょうき)
- 興奮(こうふん)しているとき
- 至近距離で突然出くわしたとき
特に、子供の『うり坊』がいるときは、とても神経質になっているので、絶対に近寄らないようにしてください。必死に子供を守ろうと威嚇してきます。こちらから刺激を与えないように、そっとしておくと、イノシシたちは逃げていきます。
突然遭遇したらどうしたらいいの?
『注意!!イノシシ出現』の看板が立っている場所には行かないこと。それでも、突然出くわしたら、背中を見せずにゆっくりと後ろに下がって、静かにその場から急いで立ち去ることです。つまり、あわてず焦らず、目をそらせないで後ろに下がり、急いで距離を取り立ち去ることです。
イノシシは、こちらから刺激を与えなければ、威嚇していても逃げていきます。むやみに刺激する行動はやめましょうね。そして、ぜったいに、背を向けて走って逃げないようにしてください。人を敵と思い興奮して襲ってくることがあります。
まとめ
- 日本のイノシシは2種類います。
- イノシシはとても臆病で神経質な動物です。
- 走るスピードはとても速いです。
- イノシシの鳴き声は豚の鳴き声と似ています。
- 興奮状態で威嚇する鳴き声があり、聞き分けられます。
- イノシシに出くわしたら静かにその場から急いで立ち去ります。
最近、イノシシも人に慣れてきたのか、餌を求めて街中にも現れることがあります。出くわしたくないのですが、突然遭遇したら、興奮状態で威嚇しているのか、鳴き声でかわかります。特徴的な鳴き声が聞こえたら、刺激しないように、速やかに立ち去りましょう。
本来イノシシは臆病な動物なので、威嚇していてもほとんどが逃げていきます。藪や山道を歩いているとき、鳴き声が聞こえても、襲ってくることはめったにありません。イノシシは決してどう猛で危険な動物ではないのです。
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